「奇跡の八卦」の誕生

この本に書かれている八卦はある人の人生の一局面だけでなく、その人の運命までも見通してしまうほどの深みを持っています。というのは、本書の八卦は、数ある八卦占いの真贋しんがんを究めるため、その理論である『周易』のすべてを今一度洗い直して見い出した「奇跡」の八卦だからです。

本書の八卦は[生年月日や時間」を使うところに最大の特徴があります。

ふつう、八卦は竹の棒や木の片を使つて占いますが、この方法だと、目先の事柄しか占えない上に、やり方が複雑すぎ、とても一般の方が手を出せるものではなくなってしまうのです。
そこでわたしは『周易』のすべてを紐解き、ひとつの方法を見い出しました。
それが生年月日を基に八卦を算出する方法です。

中国人、特に華僑かきょうと呼ばれる人たち(中国を離れ、外国で商売をしている中国人)は自分の生年月日を語りたがりません。
また、仮にしゃべったとしてもそれは偽りであることが大半であるといわれています。
たかが誕生日と思われるでしょうが、それは我々の自己防衛なのです。
誕生日を知られ、それを基に占われることは、自分自身が丸裸にされることを示しています。
つまり中国人にとって、生年月日を知られることは自らの生死に関わる一大事なのです。

この生年月日と八卦を結びつけたこと、ここに本書の妙があるといっても過言ではありません。
結果として、今までの八卦ではほとんど導きえなかった「人間の基本的な性質」「大局的な運命」「自分を取り巻くすべての人との相性」を解明することができました。
これは八卦の歴史の中でも特筆すべき事件だといえます。
では、なぜ生年月日と八卦が結びつけられたのかを説明しましょう。

八卦の基本は、人が「偶然」としか思わないことを「必然」として見い出すものだということは、前にも述べました。
今、自分が立っている局面を必然としてとらえ、その上で「どういう行動をとるべきなのか」を教えてくれるのが八卦なのです。

本書の八卦は、地球、月、太陽の運行をひとつの必然としてとらえています。
その大きな流れの中で、地球を一個の生命体とみなします。
その地球で生まれたわれわれ人間ひとりひとりは、地球という星のひとつの局面であるはずです。
われわれが生まれ落ちるということが地球に対しどのような影響を与えるのかは、生まれ落ちた瞬問から判断できるのです。

この方法の基礎は、前述したように、宋時代の郡雍という学者により梅花易数という占法で初めて見い出されたものです。
ただし梅花易数では、本書のやり方、個の人間に対し不変の事実を求めていく手法はごく一部にとどめられています。
本書のように、人の運命全般を、人生や性格まで含めて総合的に占う書物は、まさに画期的といえるでしょう。


宇宙を構成する八つの要素(卦)


ここからいよいよ八卦の核心に入りたいと思います。
八卦は神秘の占いですが、同時に非常に思想的でもあります。
中国の悠久の世界観がそこに込められているといってもよいでしょう。
八卦個々の卦に秘められた思想的な意味合いを知ることで、この占いの深遠さが確かめられるはずです。

八卦とは天地自然、森羅万象を構成する八つの要素のことです。乾けん(天)、兌だ(沢)、離り(火)、震しん(雷)、巽そん(風)、炊かん(水)、艮ごん(山)、坤こん(地)のように個々の卦は自然現象を象徴しており、万物はすべてその八つの卦のどれかに当てはまるといわれています。


梅花心易、陰陽の図



図1を見てください。
八つの卦はすべて陰陽(夜と昼/闇と光)の流れの中に位置しています。
「陰陽の流れ」というのは、簡単にいうと、太陽が昇っていく様子を「陽」、太陽が沈んでいく様子を「陰」とし、それが絶えず移り変わっていくことだと考えてください。
八つの卦はそれぞれ、その陰陽が移り変わる流れの一瞬間をとらえたものなのです。

中国古来の宇宙生成論では、八卦を使って万物と人類の発祥についてこう説明しています(図2参照)。


梅花心易、森羅万象発生の図

「宇宙の元気、諸々を包含する混沌『太極たいきょく』からすべては発生する。
『太極』は、陰陽の流れによつて四象ししょうに分けられ、四象は八卦に分けられ、それらが宇宙を形成する。
まず、乾けん(天)と坤こん(地)が生ずることによって、森羅万象が存在するための空間が作られた。
万物の源は炊かん(水)と離り(火)であり、陰陽変化により震しん(雷)と巽そん(風)がそれらを動かす。
そしてできたのが艮ごん(山)と兌だ(沢)である。
艮ごん(山)と兌だ(沢)の間にすべての生命は生まれ、その生命の豊かな流れが人類を生んだのだ」

これが、八卦で古来、説明されてきた東洋ならではの人類誕生の過程です。
歴史の項でも説明しましたが、中国人は経験論的に八つの卦の意味を深めてきました。
各々の卦には、中国人が長い歴史の中で築いてきた叡智が込められているといってもよいでしょう。


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